旭川障害年金相談センターの米田です。少し前の日本では、残業をしても当たり前という風潮もありましたが、今は徐々に無くなりつつあります。これは逆の意味で、勤務時間内に仕事を覚えることができるのか?仕事を処理できるのか等という考えにもつながり、企業は即戦力の社員を求める傾向が強くなる背景にもなっています。これは企業側だけの問題だけではなく、働く側にも何かしらの変化を求められているのではないかと思います。
今回は、オーバーワークで精神疾患(うつ病)になってしまった方を紹介したいと思います。仕事もしっかりやりつつ、余暇も楽しむ、そのような人生を送れるように、日々時間の過ごしていきたいと思います。
目次
障害厚生年金2級を受給した事例【精神疾患(うつ病)】
発症状況
Y・Nさんは、看護師として勤務していました。7年前から業務の繁忙によりオーバーワークでじょじょに抑鬱状態となってしまいました。
抑鬱症状として、倦怠感や身体が怠く動かせない、何事も億劫な状態になって行き、とうとう職場にも行けなくなったので、やっと精神病院へ行くことにしました。
双極性感情障害、躁鬱病と診断
精神病院では、「双極性感情障害」と診断されました。
ご本人様が病院へ入院されることになり、当センターにご相談の上委託をされました。
当センターで年金記録の確認をし、受給資格があることを確認しました。そして診断書および病歴申立書などの申請書類を作成致しました。
初診日もわかっていたため、書類作成後に障害厚生年金を請求し、結果、障害2級に認定されました。
うつ病を予防する
(1)ストレスに気をつける
ストレスが高まってきたり、蓄積したりすると、身体面、心理・感情面あるいは行動面にさまざまな変化が現れます。
たとえば、「身体面」では、倦怠感が続く(疲れがとれない)、首や肩が凝る、胃腸の調子が悪い、よく眠れない(早く目が覚める、熟眠感がない、夜中に何度も目が覚める)、「心理・感情面」では、気分が晴れない、イライラする、落ち着きがなくなる、考えが悲観的になる、被害的になる、攻撃的になる、「行動面」では、引きこもりがちになる、食生活が乱れる、喫煙や飲酒の量が増える、約束を守れなくなる、身だしなみがだらしなくなるといった変化です。
これらを早期に察知し、必要に応じて軽減を図ることは、うつ病の予防面でもたいへん重要です。
自分自身で気づける変化
憂うつ感:気分が落ち込んでいる、何事にも悲観的になる。憂うつだ。
おっくう感:好きなことすら興味がもてない、何をするにもおっくうだ。
焦り、不安感:イライラして落ち着きがない。漠然と不安だ。
頭が回らない、決められない:いままで日常的に出来ていたことも頭が回らず進まない、決めることが出来ない。
食欲・体重の変化:食欲がない。食欲が急に増えた。食事療法をしていないのに体重が減った。または増えた。
睡眠の変化:良くない考えごとで寝つきが悪い、浅い眠りで夜中に何度も目が覚めてまた眠れない、朝から早く目が覚めて考えごとをしてしまうなど。
身体の症状:これといった身体疾患がないのに、頭重感、頭痛、めまい、微熱、吐き気、下痢や便秘など身体の症状が続く。
疲れがとれない:朝からぐったりと疲れきっている。いくら寝ても疲労感がぬけない。
こうしたストレスによる変化には、本人が自覚しやすいものと、周囲のほうが気づきやすいものがあります。特に「行動面」の変化は周囲の方が気がつきやすいことがあります。したがって、職場の仲間や友人、家族などから、「最近少し様子がおかしい」とか「疲れているようにみえるよ」といった助言があれば、それに耳を傾けることも大切です。
また、大きな出来事(昇進や転居といった一般的に望ましいものも含みます)を短期間に続いて体験した場合には、自分で気づかないうちにストレスが高まっていることがよくあります。時々、自分自身の生活を振り返ってみる時間を持つようにしましょう。
(2)仕事のストレスの軽減を図る
仕事のストレスは、自分で軽減できるものと、そうでないものがあります。
前者としては、時間の使い方や作業の手順を工夫して、仕事をより効率的に処理することや、仕事時間と休養とのメリハリをつけて、効果的なリフレッシュを図ることなどがあげられます。また、仕事をひとりで抱え込んでしまい、そのためにオーバーワークになる傾向のある人は、目の前の仕事を上手に周囲の人に頼む、あるいは依頼された仕事をうまく断る術を身につけるのもよいでしょう。仕事のストレスは逃れようがなく、如何ともしがたいと考えられがちですが、仕事の仕方や進め方を見直すことで軽減できる面も案外あるのです。
また、これは仕事に限ったことではありませんが、最近ではうつ病につながりやすい物事の受け止め方、思考パターンが指摘されるようになってきました。たとえば、「全か無か」しか考えられず、その中間が認められない、自責的である、物事の自分にとっての負の側面ばかりを見がちであるなどです。こうした特性を、劣等であるとか恥じるべきであるなどと考える必要は決してありません。けれど、その傾向が強いと、うつ病になりやすいという意味では損なところがあると言えますから、場合によっては少し見直してみるのもいいかもしれません。
自分だけでは解決できない事柄については、上司や同僚に相談してみましょう。時には、職場で話し合いや調整をすることによって、事態が改善すると思われることについては、職場改善活動などの機会に、具体的な提案をしてみることをお勧めします。
(3)相談をする
上述したストレス反応やうつ病の症状に心当たりがある場合には、専門家に相談してみることをお勧めします。いつもより程度が強いとき、あるいは持続期間が長いときは要注意です。特に、八方ふさがりで、何をどうしてもうまくいかないような気持ちになっているのであれば、ぜひどなたかに相談してみてください。ひとりで悩んだり考え抜いたりすることは、確かに自己成長につながることもあるものですが、仕事や生活面にひどい影響が出てしまってからでは、その修復に時間やエネルギーを要します。症状の改善にもそれだけ時間がかかります。
身近な医療専門職としては、まず企業内にいる産業医や看護職などがあげられます。医療職として守秘義務を負っていますから、本人の知らないところで相談内容が第三者に漏れていることは、通常ないはずです。相談の問題を解決するために、上司や人事関係部署の協力が必要で、相談内容の一部を彼らに情報提供を要する場合にも、本人にその旨を伝えて了解を得てから話を進めるのが一般的です。何がしかの不安がある場合には、相談内容や相談したという事実がどのように守秘されるのかを確かめてみるとよいでしょう。
相談するには、その内容を整理してからでないと失礼だ、などと考える必要はあまりありません。むしろ、そうしたことが困難となっているために、悩みや苦しみが強い場合さえあるのですから、とりあえずは今の状態をそのまま受け止めてもらおうというくらいの気持ちで結構です。そして、相談してみると、人に伝えるという行為そのものが、自身の頭の整理になることもあります。
企業によっては、外部のメンタルヘルスサービス機関に業務委託をして、電話相談やメール相談などの相談窓口を設置しているところもあります。ご自身の所属する組織では、どのような相談ルートがあるのか、はっきりとご存じない場合には、一度調べてみることをお勧めします。外部の相談機関については、「相談窓口案内」から探すこともできます。また、「こころの耳の相談窓口」も利用できます。
(4)情報を得る
職場でメンタルヘルスに関する講演会等が開催される場合には、積極的に参加して情報を得るようにしましょう。最近では、新書や文庫、インターネットなどで、容易にメンタルヘルスに関する情報を入手できるようになりました。心の病気そのものをわかりやすく解説したものや、ストレートな体験記、小説などたくさんのものがあります。うつ病に限っても、かなり詳しいところまで、知識を得ることができます。上述したストレス対処についても、さまざまな手法やコツが紹介されていますから、その中から自分に合ったものを選んで試みることができるでしょう。本サイトからも、数多くの有用な情報を得られます。
しかし、そうした情報の中には、かなり偏向した内容のものもありますから、注意が必要です。いくつかの出所が異なるものを読み比べてみるのもよいでしょう。また、いくら詳細な情報であっても、それだけで心の病気の診断がついたり、最も適した治療法がわかったりするわけではないことにも留意してください。
たとえば、10項目とか20項目とかの簡単な質問が用意されており、それらに答えることによって総合得点が算出され、うつ病の可能性が高い、あるいはその可能性が低いといった自己評価ができるサイトがあります。しかし、それはあくまで「可能性」であり、「診断」ではありません。質問紙(アンケート)だけでは、それがどのくらい詳細なもので、よくできていても、正確な診断名を得ることはできないのです。
引用元:うつ病を防ぐ
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