皆さんは「労務管理」と「人事管理」の違うはご存知でしょうか?
人事部や総務部に在籍していない限り、知らなくて問題がある訳ではありませんので、もしかしたらご存知でない方が多いのではないでしょうか。
目次
「労務管理」と「人事管理」とは?
「労務管理」とは?
「労務管理」とは、会社と従業員が取り決めた労働条件(労働時間、休日・休暇、福利厚生、賃金や賞与、手当等)に基づいて働く環境を管理(社内体制整備等)することです。
具 体 例
1)求人・採用
2)入退社の手続き
3)配置や異動
4)給料計算
5)勤怠管理(労働時間の管理)
6)安全衛生管理
「人事管理」とは、人材の採用、人材の評価、配置転換、能力開発、モチベーション管理、就業規則関連など、従業員個人の能力が最大限に発揮できるように働き方を管理することです。
先程あげた「労務管理」は、実は「人事管理」の一部です。
「人事管理」の目的
従業員が、入社してから退職するまでの「働き方」や「働く職場環境の整備」等を通して、従業員の能力を最大限に発揮できる支援を目的としています。
その為、「人事管理」担当者は、非常に多岐にわたる業務に精通する必要があります。
そして、人材不足である現在の日本においては、非常に期待されるべき役割と言えます。
具 体 例
1)人事異動
2)人材採用
3)人材教育・育成
4)人事評価
「ジョブ型雇用」が注目されている?
「労務管理」と「人事管理」について説明をしましたが、最近「ジョブ型雇用」が注目を集めているようです。
「ジョブ型雇用」とは
「ジョブ型雇用」とは、ジョブディスクリプション(職務記述書)によって、業務内容や責任の範囲。そして、必要なスキル以外にも勤務時間や勤務場所などを明確に定めた上で雇用契約を締結する雇用形態のことです。
その為、他部署への配置異動や転勤などは無く、昇格・降格も基本ありません。日本では今まで珍しいシステムですが、世界的にはスタンダードな雇用制度です。「仕事」に「人」をつける。
「メンバーシップ型雇用(日本型雇用)」とは
「メンバーシップ型雇用」とは、言葉の通り会社のメンバーになるという雇用制度です。「終身雇用」と言った方がイメージがしやすいかもしれません。「人」に対して「仕事」をつける。
「人事労務管理」は何が異なるか?
「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」とでは、「労務管理」や「人事管理」ではどのような点が異なるのでしょうか。
「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」との違い
配置転換、転勤、ジョブローテーション
・「ジョブ型雇用」には、原則ありません。
・「メンバーシップ型雇用」にはあります。
給与の評価基準
・「ジョブ型雇用」では、給与の評価基準が「業務内容や役割」である為、「業務内容や役割」が変わらなければ「昇給」は原則ありません。
・「メンバーシップ型雇用」では、人基準で評価がされる為、総合的に判断の上「昇給」される場合がある。
解雇権
・「ジョブ型雇用」では、「業務」がなくなれば「解雇」されることになります。また期待された「役割」を果たせないと判断されると「解雇」されます。
・「メンバーシップ型雇用」では、「解雇」が制限される。これは長い目で人材育成をすることが前提であることが理由です。
社員教育
・「ジョブ型雇用」では、原則従業員の自己責任で自らが行う。
・「メンバーシップ型雇用」では、会社側が「社員教育」を計画し実施する。
ま と め
最近の「ジョブ型雇用」が注目されて来ているのも、昨今の状況を考えると当然なのかもしれません。
一番の理由は、私の個人的な意見としては「経済環境の変化」が大きいのではないかと思います。
1)既存の「業務務内容」自体を見直しが必要がある。
2)見直しをした「業務内容」で成果に結びつけるか、現在は試験中である。
3)上記1)2)の為、社員教育や人事評価制度を導入ができない状況にある。
その為、ある程度「経済変化」が落ち着いて、「業務内容」を固定化できる場合は、その範囲内で「メンバーシップ型雇用」も導入されるのかなと思います。
だからと言って、「当社はメンバーシップ型雇用ですよ」と言っても応募が今までのように来るとは限りません。
最近では1日15分の作業で「月30万円」ぐらい稼ぐ人がざらに居るようですが、そのような意味においても、「ジョブ型雇用」が広く認められて来ると「働く」という概念が益々変化するように思いますので、「当社で働く魅力は〇〇〇〇です」と断言できるような会社でなければ、人の採用が難しくなるのかもしれません。
ここ数年は、「ジョブ型雇用」でも、「メンバーシップ型雇用」であったとしても、経営する側からすると複雑な問題を抱え続けることになりそうです。
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