職業柄、労働時間、特に残業時間についてご相談をお受けすることが多いです。
そこで一般的な【残業時間】を減らす施策についてご紹介したいと思います。
目次
最初に労働時間の変動を確認!?
まず最初に、【労働時間数】自体が季節的に、特定の時期に多くなる、少なるという変動があるかどうかを確認をします。
目的は、【労働時間数】の変動に合わして、労働力を配分する必要があるかどうかを確認する為です。
もし【労働時間数】の変動が認められる場合は、【変形労働時間制】を取り入れることをお勧めしています。
【変形労働時間制】とは?
季節的にとか、特定の時期に【労働時間数】が変動することを前提としている為、今回ご紹介する【変形労働時間制】は下記の二つに絞りたいと思います。但し、ここでは詳しい説明は省かせて頂きます。
1)1年単位の変形労働時間制
2)1か月単位の変形労働時間制
この【変形労働時間制】を採用するメリットとしては、法定労働時間である1日8時間、週40時間というルールに縛られる余地が少なくなるということでしょうか。
例えば、1か月単位の変形労働時間制については、事前に1か月単位のシフトを組み、1か月を平均して週40時間になるようにします。但し、あくまでも「平均」してです。つまり、ある1日8時間を超えることもある訳です。
祝日が多い月だと、1日8時間・週40時間の法定労働時間に縛られない日・週があることは大きなメリットと言えます。
但し、シフトで決めた時間を超える場合、【残業代】は当然のように発生しますので運用上は注意が必要です。
【変形労働時間制】採用後の代表的な4つの施策方針とは!?
変形労働時間制等を取り入れた後でも、尚、残業時間が発生してしまう場合、実労働時間数が多いので対処の仕方としては、一般的に下記の4点の施策が考えられます。
労働力(人で)を増やす
1)まず考えらえるのは、必要な作業量的に、既存労働力ではどうしても残業が発生してしまう場合です。
新たに人を採用することで、総労働時間数は同じであったとしても、割増賃金分が発生しない為、その分人件費を抑えることができます。
2)但し、最初にこの施策を書いておきながらなんですが、最初に選択すべき施策とは私は考えていません。
人一人採用することは、単純に作業を負担してくれる以上のことが、採用する側に発生します。よって、他にやるべきことがない場合、その他に選択する以外にない場合に取るべき施策だと思います。
場合によっては、他の施策が回るようになる迄の一時的な施策となる場合があるかもしれません。
時給単価を下げる
1)残業代を減らしたい、という理由は、残業代をそのまま支払うと会社経営が成り立たなくなるからです。
よって、残業代未払いを無くすという適法性と健全な会社経営を考えた先にある施策の一つとして、「残業代を払えるように時給単価を減らすことはできないのか?」というものです。
勿論、時給単価を減らす、ということは、働く従業員の方にとっては不利益変更になりますので、会社側から一方的な通達でなり得るものではありません。
一般的にお見受けするのが、今まで通りの総支給額を支給するけど、「定額残業代」を込みとするものです。
それで従業員の方に納得して貰うケースが多いと思われます。
2)「定額残業代」のメリットとして言われているのが、「実際に残業をしても、しなくても支払われる」という認識がされる為、(残業をしないで)出来るだけ短く勤務しよう、と考える傾向にあるというものです。
支払いを受ける側の価値観によって受け止め方が異なる為、必ずしもこのように受け止められるとは限らないと思いますし、逆なことも多いのではと思います。
ですので、既存の従業員に対しては、この施策は私はお勧めてしていません。これから採用する従業員の方に対しては可能性としてはあるかもしれません。
店舗責任者・役職者を【管理監督者】に!?
労基法第41条に【管理監督者】は、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用除外にすることができると明記されています。
そこで店舗責任者や役職者を【管理監督者】ということにして運用する訳ですが、実態が労基法で言っている【管理監督者】でないことで問題になることがあります。
ですので、運用する場合は要件を満たしているかどうかを確認をした上で採用することをお勧めいたします。
作業効率を上げる
作業効率を上げるには、従業員のスキルup、作業工程等の見直し、設備導入等を実施することです。
一般的に従業員の方々は、目の前の労働・作業のことでいっぱいで、作業をやる度に改善をし続けることは難しいと思われます。よって、経営に携わる人は、作業効率が上がるようにサポートをしていく必要が多いのでないでしょうか。
業種・業態によって、何にウエートを置いて効率を図っていくか問題ですが、施策を実施して効率が上がる可能性が高いものだと思います。
私ごとですが、私の事務所でも作業時間を半分以下にすることができましたので、各業種・各事業場ごとで何かしらの余地があるのではと思います。是非、検討をして行動してみて下さい。
更に作業効率を上げるには「成果」に焦点を当てること!?
1)以上「残業時間を減らす」という問題解決の施策についてご紹介をしましたが、結局は【残業時間】を減らすということは、私は【労働・作業自体の価値を上げる】ことだと思っています。
【労働・作業自体の価値を上げる】とは、勿論、会社が求める【成果】に焦点を当てることで始めて達成できます。
そして【成果】が上がれば、【残業代】は払えます。
尚且つ、【成果】を上げることは、【残業代】を払える以上のメリットを会社にもたらします。
2)従業員のスキルup、作業工程等の見直し、設備導入等をやったとしても、幾ばくかの【成果】があるかもしれませんが絶対長くは続きません。
長続きはしないことは前提ですが、会社が求める【成果】が曖昧な場合は、まずはこれらをやりませんかと提案をしています。
何故なら会社が求める【成果】を導き出すのは、簡単なことでは無く、時間がかかるからです。
【成果】を導き出す、というこは【経営戦略】【事業構造】や【事業計画】等にかかわることです。
ま と め
お客様から「残業時間を減らしたい」と御相談をお受けしますが、結局は、【労働・作業自体の価値を上げる】と思っていますが、ここまで考えてご相談をされてこられる方がほとんどです。
小手先的なことは出来ますが、【労働・作業自体の価値を上げる】ということは、経営者がもっと脳に汗をかかなければ達成できないことだと思います。
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