【労務管理】「36協定」締結の手続きが厳格化になっているので注意が必要!?

2020年の労働基準法改正により「36協定」締結の手続きが厳格化になっており、更に労働基準法施行規則でも要件の追加が行わられていますのでご紹介します。

【関連記事】:【労務管理】どうなった?「労働基準法」改正による時間外・休日労働(36協定)の新ルールを解説!!

【厳格化1】労働者の過半数代表者の選出方法

「36協定」を締結をするのは、会社と「労働者の過半数代表者」との間で締結がされます。

この「労働者の過半数代表者」の選出方法について、「管理監督者でないこと」で条件でしたが、条件が追加されています。

条文追加にみる厳格化

≪追加≫

「労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であり、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」(労基法施行規則6条2)

※太文字部分が追加されました。

 

この条文追加の背景としては、裏返せば「労働者の過半数代表者」の選出について、事業主の意向が反映されていることが見受けられたのでしょう。もしそのようなことがあった場合は、敢えてこの条文を追加をされていることを踏まえて、今後は運用していくようにして下さい。

対象労働者の範囲は?

「労働者の過半数代表者」の件は、先に触れました。ではこの「過半数」の分母の労働者の範囲はどこまでなのでしょうか。

下記の労働者が対象となります。

(1)管理監督者

(2)正社員

(3)パートタイマー・アルバイト等の非正規従業員

逆に対象にならないのは、下記の労働者です。

(1)出向労働者・・・出向先でカウントされます。

(2)派遣労働者・・・派遣先でカウントされます。

協定の締結単位は?

(1)「36協定」の締結単位は、「法人」単位ではなく、「事業場」単位です。

※新しい書式には、「労働保険番号」を記載することになっています。

(2)「労働者の過半数代表者」選出する際に気をつけないといけないのは、「会社全体で過半数労働者が所属する労働組合」がある場合です。あくまでも「36協定」の締結単位は、「事業場」単位なので、「会社全体で過半数」でも、「事業場で過半数」とは限らないからです。

【厳格化2】「特別条項」の発動事由

以前は、「決算」等繁忙となる時期が予想が経った場合でも「特別条項」を発動させることが出来ました。

ところが、2020年の労基法改正では「通常予見することができない業務量」となった場合に限られることになっています。

つまり、この「通常予見することができない業務量」となってしまわない限り、「月45時間、年360時間の時間外労働の範囲内」で業務をこなす必要となる訳です。

従前「特別条項」を発動して労働者に勤務をして貰っていた会社に対しては、とてつもないくらい厳格な改正内容になっています。ですので、この場合、業務遂行等の見直しや改善を早急にしていく必要があるかと思います。

 

労働時間の考えられる対処法

「時間外労働」と「休日労働」を組み合わせる

「時間外労働」が「月45時間以内」にする施策の1つとして、考えらえるのが「休日労働」の活用です。

「休日労働時間」には、あくまでも「特別条項」で「2~6カ月平均で80時間以内、1か月で100時間未満」に含めてカウントされる制限があるだけで、「休日労働時間」だけでは制限がありません。

「時間外労働」だけ考えるのではなく、「休日労働」を活用することで、「時間外労働 月45時間以内」とすることができるかもしれません。

 

「36協定」運用上の注意点

下記は、「36協定」運用上の注意点を記載します。ご参考にしてみて下さい。

「特別条項」発動回数の管理単位

「特別条項」発動回数には6回以内と制限があります。

この「特別条項」発動回数の管理は、原則「個人単位」です。ですので、「労働時間」を管理する際にしっかり「特別条項」発動回数を管理するようにして下さい。

「36協定」の協定期間中に別事業場に移動がある場合

「36協定」は、あくまでも「事業場」単位で締結されるものです。

「36協定」の協定期間中に別の事業場に異動があった場合、「異動前の事業場」で行った「時間外労働」や「休日労働」は「異動先の事業場」に引き継がれるのでしょうか。

<原則>「事業場」単位で管理しているので、下記のものは引き継がれません。

(1)「時間外労働」の「月45時間以内、年360時間以内」

(2)「特別条項」の発動回数(6回以内)や「時間外労働」の「年720時間以内」

<例外>「個人」単位で管理しているので、下記のものは引き継がれます。

(1)「特別条項」の「月100時間未満」及び「平均月80時間以内」

どのようなケースが「罰則」適用になるのか?

「罰則」の対象となるのは、下記の場合ですのでご注意下さい。

<労基法第32条違反>⇒「6か月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」

(1)「36協定」を締結していないのに「時間外労働」「休日労働」をさせた場合

(2)「36協定」で定めた時間を越えて「時間外労働」「休日労働」をさせた場合

<労基法第36条6項違反>⇒「6か月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」

(3)「時間外労働」と「休日労働」の合計が「月100時間以上」となった場合

(4)2~6か月の「時間外労働」と「休日労働」の合計時間の平均が「月80時間超」となった場合

まとめ

現在、社会変化がとてつもない早さで進んでいます。

そして、経済産業省では「2025年の崖」と言って、既存の日本のシステムが老朽化しているので「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進まなければ、日本経済は13兆円の損失が発生すると警告を出しています。

単純に、高額な「残業代」が負担なので「時間外労働」を減らすという視点ではなく、「時間外労働」を減らしていく努力を企業価値にどう転用していくかという視点が必要なのではないでしょうか。

これから日本政府は、「2025年」に向けて、色々な施策を出していくと思いますので、上手活用して自社の進化を推し進めて下さい。

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