孫子が言う「負けない態勢」を、会社に組織に置き換えたら?形篇①(孫子の兵法ビジネスLabo)

本 文

『孫子曰く、昔の善く戦う者は、先(ま)ず勝つ可からざるを為して、以て敵の勝つ可きを待つ。勝つ可からざるは己に在り、勝つ可きは敵に在り。故に善く戦う者は、能く勝つ可からざるを為すも、敵をして勝つ可からしむること能わず。故に曰く、勝は知る可くして、為す可からずと。』

通 解

孫子が言う。

「昔の戦上手の者は、まず「攻撃されても負けない態勢」を作って、自軍が「敵に勝てるチャンス」を待った。

「攻撃されても絶対負けない態勢(敵が勝てない要因は自軍にある)」を作る(作れる)のは自軍だが、「攻撃すれば絶対勝てる(自軍が勝てる要因は敵軍にある)」状況を作るのは敵軍である。

だから戦上手の者は、敵軍に勝たせないことはできても、敵軍に必ず勝つ状況を作ることはできない。

それゆえ言うのだ。「味方の態勢を整え、敵軍を勝たせないことはできるが、敵軍に絶対勝つことを決めることはできない」と。

考 察

孫子が主張する「負けない態勢」作りにおいて注意をすべき点があると思う。

それは、現時点での組織の「問題」に集中すること!と捉えることができるかもしれません。

今現時点の「問題」を解決しようとする試みは絶対必要だけど、それだけを見て判断をしていくことは勿体ない、ということを主張したい。

つまり、今現時点の「問題」を解決し、会社の業績をあげる。

それに加えて、「機会・チャンス」を見つけることに意識をし、将来の事業をの準備をしていくこと。

これは社会変化が激しい時代であればある程、必要なことだと考える。

現代ビジネスにおいて、中小企業、特に小企業であれば、競合企業の特定は難しいのではないかと思う。その為、「負けない態勢」は想像がつくかもしれないが、「奇策」で敵をつるってことが想像しにくいのではないでしょうか。

自社の「強み」に集中した「負けない態勢」を作ると、それ自体が「差別化」となり、それをアピール・広告宣伝し市場でシェアを広げてくことが「奇策」に通ずると考えることができるかもしれません。

あくまでも自社の「強み」に集中をしているので、他社はコピーしようとしても、完全にはコピーができません。

その自社の「強み」を成長させながら、を水平展開できる「機会・チャンス」を見つけて、事業展開をしていく。

この繰り返しをすることで、社会変化にも対応し、自社の成長・発展を遂げていく。これが理想形ではないでしょうか。

だからこそ、規模が小さければ小さい程、自社の事業自体が、どのような形が「成果」をあげれる「形」なのかを知らなければ始まりません。是非ご検討をしてみて下さい。

参考資料

私は、ドラッカーのこの言葉が的を射ていると思うので紹介します。

『エグゼクティブが、未来に対し、十分な時間と思索を割いていないとは、よく聞く批判である。

(中略)

エグゼクティブは、事業の未来について、もっと時間と思索を割かなければならない。

(中略)

真の病因は、経済的な課題と取り組むべための知識や、方法論が存在しないことにある。

(中略)

したがって、明日の問題に取り組むには、その前に、今日の問題を時間をかけずに効果的に解決できるようにならなければならない。

そこで、今日の仕事に対する体系的なアプローチが必要とされる。

企業にとって、本業の仕事は三種類ある。

(1)今日の事業の業績をあげる。

(2)潜在的な機会を発見し実現する。

(3)明日のために新しい事業を開拓する。

これら三つの仕事には、それぞれ異なるアプローチが必要となる。

異なる問題提起が必要となる。したがって、結論もまったく異なったものとなる。

しかし、これら三つの仕事は、互いに切り離すことはできない。

しかも、同時に行って行かなければならない。

すなわち、いずれも今日行わなければならない。そして、同じ組織によって、同じ資源、すなわち人、知識、資金を用いて、同じように企業家的なプロセスによって、行わなければならない。

未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。

主として、今日の仕事との関係のもとに行う意思決定と、行動によって、今日つくらなければならない。逆に、明日をつくるために行うことが、直接、今日に影響を及ぼす。

三つの仕事は重なり合う。したがって、一つの統合された戦略が必要である。さもなければ、三つの仕事のいずれも不可能となる。

これら三つの仕事に同時に取り組むためにはもちろん、そのうちの一つに取り組むためにさえ、経済的な組織としての企業の現実、その経済的な成果をあげるための能力、利用しうる資源と可能な成果との関係について、理解しておかなければならない。

さもなければ、単に目まぐるしさに翻弄されるだけである。しかし、そのような理解は、既成の概念によって与えられはしない。企業ごとに手に入れなければならない。(「創造する経営者」P・F・ドラッカー著より)』 引用元:明日の仕事に取り組むために

<考察2>

「ABC分析

<考察3>

企業の機能は、「マーケティング」と「イノベーション」の二つの機能。