「就業規則」に懲戒処分を定めておきたいのだけど、どう記載したらいいのかわからない。
そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
一口に懲戒処分といっても多岐に渡り、どのケースが懲戒処分相当としていいのかの判断も難しいと思います。
そこで今回は、「就業規則」に定めておきたい懲戒処分をわかりやすく解説します。
目次
「就業規則」に定めておきたい懲戒処分
懲戒処分を定める前に、まず、しなければならないことがあります。
それは「懲戒処分をするための理由を作る」ことです。
といっても難しいものではありません。
「就業規則」の中にその事由を記載するだけです。
懲戒処分するための理由とは?
企業の秩序を維持するため、使用者には懲戒権が権利として認められています。
企業の秩序を乱す行為としては、
・従業員がなんと注意しても遅刻する
・勤務中スマホやパソコンで仕事に関係ないページを閲覧している
・勤務時間中にいなくなる
・タイムカードの打刻を正確にしない
・無断欠勤が続く
・事業所内で窃盗や暴行、脅迫などの犯罪行為を行った
・飲酒運転で事故を起こした
・社外秘の情報を外部に漏らした
などです。どれも妥当だな、と思われる方が多いでしょう。
使用に与えられている懲戒権について
「就業規則」で、社員一丸となって働く中、規則を守れず他の従業員と会社に害を与える人間に対して懲戒処分を下すために制定されます。
懲戒権の濫用は認められる?
そのため懲戒権をもつ使用者は、「権利の濫用」にならないよう注意が必要です。
「権利の濫用」になるかどうかの論点はありますが、少なくともどのようなときに「懲戒権」を行使するのかを明確にする必要があります。だからこそ、就業規則で「懲戒処分をするための理由」を明記する必要があります。
懲戒処分の種類
また一口に懲戒処分と言っても様々な種類があります。
・戒告
・けん責(譴責)
・減給
・出勤停止
・降格
・論旨退職
・懲戒解雇
それぞれ詳しく見ていきましょう。
戒告
戒告とは、始末書を提出させずに将来を戒める処分です。
簡単に言うと注意することです。
文書や口頭での注意などがそれに当たります。
けん責(譴責)
けん責は、始末書を提出させて将来を戒める処分です。
中には始末書を提出しろと言われた方もいるかもしれませんね。
イメージとしては一番しやすいでしょう。
減給
減給は、読んで字の如く「本来支給されるべき賃金の一部を差し引かれる」処分です。
ただし際限なく減給していいわけではなく、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」という決まりがあります。
出勤停止
懲戒処分として一定期間の出勤を禁止する処分です。もちろんこの期間の賃金は支払われません。
ただあまりにも停止期間が長い場合は処分無効となってしまう可能性があるので注意が必要です。
降格
降格は、現在の役職や職位、資格等級などの引き下げを行う処分です。
降格を行う場合は、懲戒処分としてどのような降格を行うのかを「就業規則」に明示しておく必要があります。
論旨解雇
論旨解雇とは、懲戒解雇となる事由がある従業員に対して、会社側の温情により退職金や解雇予告手当などで、懲戒解雇処分を少し優しくした処分です。
基本的には退職願の提出を持っての退職となるため、自己都合退職扱いとなり、退職金がある場合は自己都合退職金の支給などもあります。
ただ退職願の提出がない場合は懲戒解雇処分となります。
懲戒解雇
懲戒解雇は、懲戒処分の中でも最も重い処分です。
就業規則に定められている懲戒処分内容に基づいて、使用者が従業員との契約を一方的に解消します。
懲戒解雇の場合は退職金や解雇予告手当の支給もなく即日解雇となるのが常です。
「就業規則」の懲戒処分で気をつけたいポイント
懲戒処分には気をつけるべきポイントがいくつかあります。
まず大前提として、懲戒処分をするためには有効な懲戒規定が存在し、特定の行為が懲戒規定の懲戒事由に該当すると判断されなければいけません。
更に、原則として懲戒処分は「就業規則」上の懲戒事由に該当すれば、ただちに有効になるわけでもありません。
懲戒処分が有効であるかどうかは、その懲戒処分に関する諸原則と照合して判断されるのです。
中でも懲戒解雇は懲戒処分の中でももっとも重く、従業員に重大な影響を与えることなので、厳格な判断が求められます。
そのため以下の原則を意識しなければいけません。
・相当性
・二重処罰禁止の原則
・不遡及(ふそきゅう)の原則
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相当性
懲戒処分は労働契約法において相当性が要求されており、相当性を欠く場合は懲戒処分が無効になります。
相当性というのは、懲戒事由の重さと懲戒処分の重さが均衡かどうか――すなわち相当であるかどうかです。
懲戒事由が戒告相当なのに対して懲戒処分が降格であったり、懲戒事由が懲戒解雇相当なのに対して懲戒処分がけん責だったりしてはバランスが取れていません。
懲戒処分は企業の秩序維持を目的として、従業員に対して一方的に不利益な処分を課すものであるからこそ、企業の損失と労働者の不利益は均衡しなければいけないのです。
二重処罰禁止の原則
懲戒処分は、従業員が行った行為に対する一種の刑罰なので、刑事罰と同様の法理となっています。
つまり、従業員が二度懲戒性分に値することを行っていたとしても、一度目の懲戒処分を二度目で再度処分の対象することはできません。
例外として、最初の処分が注意や警告など懲戒処分にあたらない場合は対象とすることが可能です。
不遡及の原則
不遡及の原則は、簡単に言ってしまえば、就業規則を定めた日より前の事案を適用してはならないということです。
従業員が何か事件を起こしたとして、その後に決められた就業規則によって処分してはいけません。
まとめ:「就業規則」に定める懲戒処分は細かく設定を
懲戒処分は従業員の今後を決める重い処分です。
しかし、一方で会社や他の従業員を守るために必要な処分でもあります。
ともすれば人ひとりの人生を変えてしまいかねない判断にもなるため、「就業規則」に記載する際はあらゆる状況を鑑みて定めるようにしましょう。
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