先日、相談に来られた方から「障害等級2級と3級とでは、どのくらい違うのでしょうか。年金額もどのくらい違うもんですか。」と質問を受けました。その違いを説明させて頂くと大変驚かれていました。
そこで、記事として掲載させて頂きますのでご興味がある方は是非ご一読ください。※下記の内容はあくまでも初診日に厚生年金の加入者の話です。御了承下さい。
目次
障害等級2級と3級とでは受給額が大違い!
(1)国民年金の障害基礎年金は、2級だと年金(平成31年度 年額780,100円)は支給されますが、3級事体が制度的に存在しない為、1円も支給されません。
(2)厚生年金の障害厚生年金だと、2級には同等級の障害基礎年金も支給され、3級だと3級相当の障害厚生年金は支給されますが、上記同様障害基礎年金は支給されません。
(3)ましては、2級だと、下記の図にあるように、条件がそろえば「加入年金」が更に加算されます。
※障害基礎年金には子の、障害厚生年金には配偶者の加給年金が加算される場合があります。
このように障害年金では、障害等級2級と3級とでは大いに違います。
2級程度とは?3級程度とは?
少し乱暴な表現かもしれませんが、イメージとして「2級は、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度」をいいます。
そして、「3級は、労働が著しく制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることが必要な程度」を指します。
2級と3級の違いは、短時間労働であったり、簡易な作業ならできるかどうか、制限を受けながらでも働けているかどうかです。
※ただし、肢体障害にかかわる場合は、この判断基準だと判断を誤る場合がありますので、個別具体的にご相談にのって頂いた方が良いと思います。
働けているかどうかの判断基準
そこで、一つの例として「精神の障害」の障害認定基準を見てみようと思います。
1、精神の障害には、次のような規定があります。
『現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で日常生活能力を判断します。』
上記内容を要約すると、下記のポイントが考えられます。
(1)一般企業での就労なのか、一般企業での就労であったとしても障害者雇用枠での就労なのか、作業などの福祉サービスでの就労なのか。
(2)仕事場では就労のため、必要な援助を受けているかどうか、その内容はどの程度なのか。
(3)週の労働時間はどの程度なのか。
(4)診断書の現症日時点で勤続期間はどのくらいなのか、就労が継続できる見込みはどの程度あるのか。
2、認定基準としては上記のとおり「実際に働いている事実だけでは判断をしない」と明記されてはいますが、上記内容を考慮して判断して貰う為には、年金を請求する側で資料の提出をしなければ、これらは全く考慮をされません。その場合は3級と判断される可能性が大きいと思われます。
働けていない(2級程度)と判断されるためには
2級と判断されるかどうかは、次のような場合が考えられます。
(1)作業などの福祉的に(最低賃金の保障がなく)就労している。
(2)職場でのジョブコーチ、上司・同僚等による細かい指示や助言・指導、声掛け、見守りなどがあって始めて仕事が出来ている。
(3)転職を繰り返したり、働いても短期間で辞めざるを得ない、退職した後もしばらく仕事に就けない。
(4)週の労働時間がとても少ない。
(5)病状により就労継続の見込みがほとんどない。
但し、最近の障害年金の認定を考慮すると、上記内容であったとしも、かなり厳しく判断されていると思われます。
よって、医師に細かく診断書への記載をして頂くこと、そして、それらを補足する資料を添付することをお勧めいたします。
まとめ:就労状況を証明する補足資料を用意しましょう
補足資料として考えられるものは下記の通りです。
(1)職場のジョブコーチ、上司・同僚等の就労状況についての証明書
(2)職場外の就労支援センターや就労移行支援の支援員の就労状況についての証明書
(3)労働(雇用)契約書、又は労働条件通知書
(4)給与明細書、出勤簿(又はタイムカード)
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