副業禁止を解除!?副業制度を運用する際の法的・実務的留意点を紹介します!!

副業をする人が増えている背景

近年、日本における副業制度の発展が注目されていますが、その背景には、働き方改革や経済的変動が大きく影響していると考えられます。

2017年、政府が「働き方改革」を推進する中で、「柔軟な働き方の環境整備」が掲げられましたが、この中には企業の副業解禁を促す内容が含まれていました。また、「モデル就業規則」や「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改訂・策定され、副業制度が企業に広まりました。

さらに、経済の不透明感が増す中で、副業を通じて収入を得るだけでなく、これまで企業に依存していたキャリアプランを自ら考える人々が増えているように思われます。

社会環境的にも、スマートフォンの普及により副業がしやすくなったことも、副業の拡大を後押ししました。インターネットや各種プラットフォームを利用することで、副業に必要なスキルを学びやすくなり、また、自宅や職場などの地理的な制約を受けず仕事ができるようになりました。

このように、副業を取り巻く環境が変化している中で、筆者自身も副業について知る必要性を感じて、ネットビジネスを学んで実際に挑戦してみました。実際、1日10分ほどで月15万円を稼いだことがあり、副業を始める人が多いことが納得しています。

副業制度を導入することのメリット

従業員にとって、副業を通じて本業以外の収入を得ることが出来メリットがあります。それでは、企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

企業側の副業制度導入メリット①

企業にとってのメリットとして、従業員が副業を通じて得た経験やスキルが本業に還元され、新たなビジネスチャンスの創出につなげられる可能性があり、更に競合企業との競争力を高める可能性があります。

企業側の副業制度導入メリット②

また、副業制度を取り入れることで、企業のブランディングにプラスの影響を与え、優秀な人材の確保につながる可能性があります。

企業側の副業制度導入メリット③

さらに、経済的な側面でも利点があります。企業で昇給をしてあげられない環境下でも副業によってその差を埋めることができる可能性があります。その為副業を推奨することで、従業員が企業の賃金に依存しない体制を作り、優秀な人材の獲得や流出の防止に寄与し、企業の競争力向上に繋げることが可能です。

副業制度を導入する際の法的留意点

企業が、副業制度を導入する際には、法的な留意点をしっかりと理解することが重要です。以下に主要なポイントを説明します。

法的留意点①:安全配慮義務

企業は、副業を行うかどうかに関係なく、従業員が安全に労働できるように配慮する義務を負っています。このため、副業を許可する際には、過重労働による健康リスクを防ぐため、労働時間や仕事内容を適切に管理する必要があります。

法的留意点②:秘密保持義務

企業が、副業禁止を解除する場合、従業員が本業で得た機密情報が漏洩するリスクが高まります。企業は、秘密保持契約の締結や情報管理の徹底を行い、副業先での情報取り扱いに厳重な対応を求める必要があります。

法的留意点③:競業避止義務

従業員が副業で本業と競合する場合、競業避止義務に違反する可能性があります。競業行為の範囲や利益保護のため、就業規則で明確な規定を設け、厳格に運用することが求められます。

法的留意点④:誠実義務

企業と従業員の間には誠実義務があり、企業の信用や名誉を損なわないよう配慮する必要があります。副業によって企業の信頼が損なわれる場合には、就業規則で副業の制限や禁止を明記しておく必要があります。

また、従業員が副業に熱中し、本業のパフォーマンスが低下するような状況は、この義務に反する可能性があります。そのため、企業は副業の内容や時間を管理し、本業に悪影響を与えないよう配慮する必要があります。

法的留意点⑤:副業の禁止または制限

企業によっては、副業を禁止または制限することが法的に認められる場合があります。特に公務員や特定の業種では、法令に基づき厳しく制限されることがあります。これらの点を確認し、適切に対応することが求められます。

また、次の状況に該当する場合、企業は副業を禁止または制限することが可能(裁判例あり)です。
1)労務提供に支障がある場合
2)業務上の秘密を漏洩する恐れがある場合
3)競業によって自社の利益が害される場合
4)企業の名誉や信用を損なう行為がある場合

副業制度を導入する際の実務上の留意点

企業が副業禁止を解除し、副業制度を運用する際には、以下の実務上の留意点にご注意ください。

実務上留意点1:副業・兼業の確認

企業は、従業員が副業・兼業を行う際に、副業・兼業の有無やその業務内容、時間を把握することが必要です。これは、従業員が本業に支障をきたさないようにするための管理です。

副業・兼業に関して、以下の内容は最低限確認する必要があると考えられます。

  1. 他の使用者の事業場の事業内容
  2. 他の使用者の事業場で従業員が従事する業務内容
  3. 労働時間通算の対象となるかの確認
  4. 他の使用者との労働契約の締結日および期間
  5. 他の使用者の事業場での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
  6. 他の使用者の事業場での所定外労働の有無、予想される時間数および最大時間数
  7. 他の使用者の事業場での実労働時間等の報告に関する手続き
  8. これらの事項について確認を行う頻度

実務上留意点2:労働時間の管理

副業を行う従業員の労働時間が過度にならないように、企業はその時間を厳格に管理する必要があります。特に、従業員の本業の労働時間と他の企業での労働時間がある場合には、これらを通算して管理する必要があり、注意が求められます。

従業員が複数の雇用契約を締結している場合には、企業間での情報共有や協力が必要になることもあります。

結論

以上のように、副業制度の導入には企業にとってのメリットがありますが、法的および実務上の注意点を踏まえて慎重に運用することが求められます。

しかし、適切なルールを整備し、企業と従業員が適切に対応すれば、従業員は多様な働き方を通じて収入とスキルアップの機会を得ることができ、企業側も競争力の向上につなげる可能性があります。もし機会があれば、一度ご検討されてはいかがでしょうか。

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