皆さんは、「信託」ってご存知でしょうか?
「信託」という言葉から連想されるのは、「投資信託」が一番多いかもしれませんね。
ですが、「信託」という言葉の意味を正しく理解されている方は少ないかもしれません。
目次
「信託」とは?
「信託」を簡単に説明すると、「自分の大切な財産を、信頼する人に託し、大切な人(或いは自分)の為に管理・運用してもらう制度」のことです。
当センターに寄せられた相談案件を通して、この「信託」の課題について考えてみたいと思います。
今回の相談案件
行政書士の友人から受けた相談案件をご紹介させていただきます。
ご相談者は、ご主人74歳、奥様が亡くなっており、同居している長女との二人暮らしでした。
長女は知的障がいを持っており、一人での生活は難しい状況です。
また、長女はストレスがかかると失踪してしまうということがあり、過去に札幌から長距離移動して名古屋で発見されたこともありました。
そんなことから、相談者の亡き後に大きなお金を残す必要は分かっているけれど、その管理に心配がありました。
また長女には兄弟がいて、長男は既にご結婚しており家族がいますが、実家からそれほど離れずに暮らしており、日常的に相談もできるような状況です。そして弟となる次男もいるのですが、素行が悪く、家族とは音信不通という状況でした。
ご主人の気持ちとしては、将来的に長女には障害者支援施設に入ってもらおうと考えており、家庭に迷惑のかからない程度に長男にサポートしてもらいたいと考えていました。
あとの問題はお金で、施設に入所する時にも、生活をしていくにも費用がかかるので、自分の元気なうちに必要なお金とその安心安全なお金の渡し方を準備していかなければということでした。
親の遺言だけでは・・・
このことを行政書士の方に相談をしたという流れなのですが、まず遺言で長女にお金を残したとしても遺留分減殺請求により、次男にも相続の権利を主張する権利がありますので、その心配や長男には金銭管理の負担を少なくしたいのですが、次女だけでのお金の管理については心配が残ります。
そこで、先程紹介した「信託」という制度を上手に活用できないか。
「信託」の活用する際の課題とは?
「信託」には、「民事信託」と「商事信託」があり、今回のケースについては「民事信託」が適していると言えます。
しかし、この「民事信託」には各々の家族のニーズに適した仕組みの契約・設計をするためには専門家のコンサルティングが必須です。この仕組みづくりや契約のコンサルティングに100万円ほどの費用は見てもらいたいというのが士業の方の本音。
かつ、その後に「信託」が始まるまでの管理費用、実際にお金を渡して行く時にかかる信託報酬が発生するなど。「民事信託」はいい仕組みだけれど、実際にやるとなるとかなりの資金が必要になり課題が多いということを話してくれた行政書士の方でした。
「生命保険信託」の活用のメリット
私自身、この事例をサポートできるのに生命保険信託がぴったりではないかとのことでないかと思い、情報提供させていただきました。
具体的に、生命保険信託でかかる費用は以下になります。
①生命保険の契約(こちらは一般的に生命保険加入に係る掛け金)
②生命保険信託の契約時に一件当たり5,000円から2万円程度
③万が一被保険者様が亡くなった場合に受け取る生命保険金の分割交付もしくは一括交付の受け取り金額からの手数料
④信託財産の残高の管理報酬手数料(残高資産により変わります)
※生命保険信託を扱っている生命保険各社により異なります。
また「生命保険信託」と他の信託契約の最も大きな違いは財産創出機能です。
これは生命保険の機能そのものですが、少ない元手で大きな資金を作り出すことが大きな違いになります。
先に挙げの例に挙げた相談者については以下のように生命保険信託を契約・設定しました。
・契約者、被保険者=ご主人
・受益者=長女
・第二受益者=長男
・指図権者=長男
もし、長女が長男よりも先に亡くなった場合には、ご相談者の気持ち、長男への今までの感謝の気持ちを形にして、長男に財産の全てを渡したいということでしたので第ニ受益者者に長男を設定しました。
今回、生命保険信託で課題解決となりましたが、一つとして同じケースはありません。
状況によっては、遺言や成年後見人、他の信託契約が解決手段として適している場合もあります。
何かご不明な点ありましたらお問い合わせください。
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