裁判で国の「1型糖尿病」による障害年金請求の不支給決定が覆った!今後手続きは変わるのか?

当センターへのお問合せの中で、特定の疾患が偏ってお問合せを頂くことがあります。
7月は「Ⅰ型糖尿病」についてのお問合せが多かったです。

と思っていたら、東京地方裁判所でも「1型糖尿病」による「障害基礎年金」不支給決定が覆る判決がなされましたね。

何か「1型糖尿病」とは縁がある月でした。

「1型糖尿病」とは?

概要

1型糖尿病とは、インスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞が壊れ、高血糖状態になる病気です。糖尿病には大きく1型と2型がありますが、1型はβ細胞の破壊によって生じるもので、運動不足や過食などの生活習慣によって起こる2型とは性質が異なります。

インスリンは血糖値(血液中を流れるブドウ糖の濃度)を一定に保つはたらきを持ち、食後に血糖値が上昇すると膵臓から分泌されます。そして、インスリンのはたらきによってブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。

そのため、インスリンが分泌されなくなるとブドウ糖が使われなくなり、その結果として常に血糖値が高い状態になってしまうのです。インスリンが不足することから、継続的にインスリンを補充する治療が必要となります。

日本では毎年約14,000人が1型糖尿病と診断され、発症者は子どもに多く、思春期にピークを迎えます。大人に発症することもあります。

 

種類

1型糖尿病には、進行速度に応じて「急性発症」、「緩徐進行」、「劇症」の3つの種類があります。

急性発症1型糖尿病

1型糖尿病の中でもっとも頻度が高いタイプです。β細胞の破壊から数週間・数か月で症状が現れ、インスリン依存状態(インスリンがほとんど出なくなり、生きていくためにインスリンの補充が必要な状態)となります。

緩徐進行1型糖尿病

インスリンの分泌低下が半年から数年かけてゆっくりと進行します。このタイプではすぐにインスリン依存状態になりませんが、早期に膵臓を保護する治療を行うことで進行を遅らせることができる場合があるため、早期治療が望まれます。

劇症1型糖尿病

もっとも急激に発症し、数日間でβ細胞が破壊されてインスリン依存状態になるタイプです。1週間前後以内に糖尿病の急性合併症である糖尿病ケトアシドーシスになり、危機的な状態に陥ることもあるため、速やかなインスリン投与が必要です。

 

原因

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊される原因は、まだはっきりと分かっていませんが、主に自己免疫異常とウイルス感染が関わっていると考えられています。

自己免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵から体を守るための防御システムで、何らかの原因によって免疫に異常が生じると、正常な細胞を攻撃してしまいます。β細胞も例外ではなく、免疫異常がβ細胞を破壊することでインスリンの分泌が低下します。

ウイルス感染においては、ムンプスウイルス、エンテロウイルス、麻疹(ましん)ウイルス、レトロウイルス、サイトメガロウイルスなどが関連しているといわれています。

なお、インスリン遺伝子、HLA遺伝子、PTPN22遺伝子、CTLA4遺伝子などの遺伝子を持つ人では家族内発症もみられますが、通常は遺伝しません。

症状

1型糖尿病の典型的な症状は、口渇、多飲、多尿、体重減少です。

インスリンの分泌が低下し血糖値が上昇すると、尿糖が排出され尿細管内の浸透圧が上昇し、利尿作用が高くなって脱水になります。その結果、口渇、多飲、多尿の症状が現れます。

インスリンはブドウ糖を取り込んでエネルギー源として利用するはたらきもあるため、インスリンが不足するとエネルギーを蓄積できなくなり、体重が減少します。

劇症1型糖尿病ではウイルス感染を契機に発症することが多く、この場合には発熱や喉の痛み、お腹の痛み、悪心、嘔吐などの感染症状が先立って認められます。

インスリンがまったく分泌されなくなるとケトン体が作られ、これによってケトーシスやケトアシドーシスに陥り、命に関わるケースもあります。

引用元:1型糖尿病

この「障害認定基準」に照らして、障害年金の受給の有無の審査が行われます。

「1型糖尿病」で国の決定取り消しの判決

令和4年7月26日 東京地方裁判所において「1型糖尿病」を抱える方が障害基礎年金の支給が認められなかったことを不服として訴訟を起こした判決がされました。結果として、東京地方裁判所は「食事、行動、仕事などに常に慎重な配慮を要し、影響は生活全般に及んでいる。日常生活に著しい制約を受けていて、支給を認めないのは違法だ」とし、国に障害基礎年金を支給するよう命じました。

このことを踏まえて「糖尿病」に関する障害年金の「障害認定基準」が変わる可能性がありますね。

今の「障害認定基準」は?

「糖尿病」における「障害年金」の「認定基準」を下記に記します。

糖尿病(代謝疾患等)による障害認定基準

血糖が治療、一般生活状態の規制によりコントロールされている場合には認定の対象となりませんが、合併症の程度により認定の対象となります。

1級 → 合併症による障害の程度により認定するもの

2級 → 合併症による障害の程度により認定するもの

3級 → 下記の1、2、3の要件を満たすもの

1、検査日より前に、90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること。

2、次の(1)(2)(3)いずれかに該当すること

(1)内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で空腹時または随時の血清Cペプチド値が       0.3ng/ml未満を示すもの

(2)意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもの

(3)インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス、又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもの

3、一般状態区分表のイまたはウに該当すること

引用元:糖尿病・高血圧症の障害

子供のときに発症した「1型糖尿病」は、利用出来る「障害年金制度」は国民年金の「障害基礎年金」です。この「障害基礎年金」は障害等級1級と2級しかありません。

『糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定もあるが、多くは糖尿病合併症に対する認定である。』と認定基準に記載がありますが、血統のコントロールが困難な場合は障害等級3級と判定されがちです。

合併症の程度によって障害等級2級以上に該当するかどうかを判定する傾向にあり、なかなかハードルが高いです。ですが、同じ「障害認定基準」には「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級」とすると記載もあり、今回の判決によって「合併症に対する認定」という概念が疑問を呈する形になったのではないでしょうか。

再度言いますが、今回の裁判所の勝訴の意味がかなり大きいのかなと思います。

ま と め

今後、「1型糖尿病」で「障害年金」を請求する場合、「障害認定基準」を踏まえた上で、更に「食事、行動、仕事などに常に慎重な配慮を要し、影響は生活全般に及んでいる。日常生活に著しい制約を受けている」を主張できるように証拠立てていく必要性があると思います。

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