障害のある子の「親なき後」に「生命保険信託」はどう活用できる?

前回の投稿で、障害がある子が「親亡き後」の財産管理の手法として「生命保険信託」が着目され始めていることを紹介させて頂きました。今回はもう少し具体的に紹介できたらと思います。

<前回の投稿記事>

最近注目されています!!障害のある子の「親なき後」のお金の管理方法を紹介します!?

知的障害のお子さんを抱える親御さんからご相談

当センターに「知的障害」のお子さんを抱える親御さんから「障害年金」のご相談をお受けしました。

開口一番、自分達が亡くなったとしてもお子さんの生活資金として「障害年金」を今の内に手続きしておいてあげたい、とのおしゃっていました。その言葉に、自分の仕事への責任感をより強く感じました。

「障害年金」だけで対策は万全?

親御さんは、御夫婦ともに30代前半(夫35歳)で、知的障害のある子ども(5歳)の3人のご家族です。

ご夫婦の意向として、あまりお金のかかる対策を今からすることには抵抗があるようでした。

とは言え、障害があるお子さんの将来の生活費を見据えた上で、本当に「障害年金」だけで足りるのか、足りなければどのような手の打ち方があるのか検討する必要があると判断しました。

「親亡き後」の月々の生活費は?

そこで親亡きあとの必要な生活費から考えました。

①「グループホームに入った際に必要な費用(障害福祉サービス利用料、家賃、食費、水道光熱費、その他日常生活にかかる生活費)」、②「後見人の費用」、③「日用品購入の費用」等々から逆算し、月々必要な金額を割り出します。

①グループホームの必要な費用

居住地域によって、グループホームの費用は異なると思いますが、今回は「札幌」で相場を調べてみました。

安いところでも、入居時に0万~5万円、月額10万数千円、施設によっては月額20万円のところもあります。

「知的障害」の障害年金は「障害基礎年金」だけを利用することになる為、障害等級2級だと「年額777,800円(月額 64,816円):令和4年4月1日時点」となります。

「障害基礎年金」だけでは、月額10万数千円を下回ってしまいます。

もし障害のあるお子さんをグループホームに入居することを想定している場合は、「障害年金」以外の対策をする必要があることになります。

<参考>「みんなの介護」でグループホームの入居費用相場を確認しました。

②後見人の費用

後見人には、「一般の方(親族等)の任意後見人」と「専門家(弁護士・司法書士)の任意後見人」の二通りあります。

後見人の費用相場は、「一般の方(親族等)の任意後見人」なら月額0~3万円、「専門家(弁護士・司法書士)の任意後見人」なら月額3~5万円です。

③日用品購入の費用

上記「①グループホームの必要な費用」、「②後見人の費用」の他に、日用品(生活を送る際にかかる費用、衣服代等)等が別途必要になります。これは月額数万円というところでしょうか。

①~③を考慮すると、グループホームに入居して生活することを想定すると、月々15~20万円ぐらいの金額は必要になりそうです。

生涯に必要な金額

上記金額に対して、お子さんの現在の年齢から平均寿命を基準とした月数を乗じて生涯に必要な金額を割り出します。

1)男性の平均寿命79.64歳(平成22年:相談当時)ですので、親亡き後の生涯年数を計算することになります。

実父が35歳で、障害あるお子さんが5歳なので「49.64年」

2)準備しておく金額は、月額15万円を想定したとしても89,352,000円なり、数千万円以上の金額が必要であることは間違いありません。

数千万円の準備するには?

数千万円を準備するとなると、生命保険以外で準備するのはなかなか難しいかもしれません。

その金額を受け取れる生命保険を、一般的な考えた方に基づいて設計しながら具体的に紹介したいと思います。

生命保険の受取人の設定

先ほどの事例のご家族の場合、ご夫婦の年齢や収入を加味し、(御主人が年齢が上である為)御主人(夫)を被保険者、最初の受取人を奥さん(妻)にして設計します。

これは障害のある子どもを受取人にしていた場合、夫が亡くなったときに、子どもの名義の口座に保険金が振り込まれてしまうと、妻が子どものためであっても自由に出費をすることができない可能性があるからです。

これだと障害のある子に親が亡き後に生活式資金を残したいという思いが果たせないのではないでしょうか。

生命保険信託のメリット

だからこそ「生命保険信託」を利用するメリットがあります。

何故なら「生命保険信託」では、受取人について自由に変更をすることができるからです。

 

「生命保険信託」の世界では、保険金を受け取る者のことを「受益者」と表現します。

上記の例最初に保険金を受け取る「第一受益者」を妻に。

そして、妻が亡くなったあとに保険金を受け取る「第二受益者」を子どもに設定することができます。

 

そうすることで、保険金については毎月分割交付にし、毎月受け取る保険金については妻が生きている間は、毎月妻が保険金を受け取り、妻が亡くなったあとは毎月子どもが保険金を受け取れるようになる訳です。更に「第三受益者」についても念のために設定し、子どもが亡くなった場合には、夫の甥が受取人にとなるように設定することもできます。

ま と め

「生命保険信託」の利用するメリットについて簡単に説明をしたが、そうすることで将来子どもに相続人がいない場合でも、保険金が国のものにならないので、より家族の思いに沿ったお金の使い方ができます。

もちろん分割交付を行うことで、本人の浪費や大金を持っていることによって犯罪に巻き込まれてしまうことを防ぐことができますし、また将来子どもに成年後見人・任意後見人が選任された場合にも管理の負担や横領の負担を減らすこともできます。

親亡きあと問題の対策について何を始めたらよいかわからないもいう方も、生命保険信託の利用の検討から始めてみてはいかがでしょうか。

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