仮説は、あらゆる企業にとっておおむね共通である。企業はそれぞれ異なる。しかし同時に、企業は、その基本においていずれもほとんど同じである。規模や構造、製品や技術や市場、社風や経営能力のいかんにかかわらず、同じである。そこに共通の現実がある。
ほとんどの企業に、ほとんど常に言えることが二つある。
一つは、企業の成果と資源についてであり、一つは企業自身の活動についてである。
これら二つのことについての仮説から、企業家的な仕事というものの性格と方向に関して、いくつかの結論が導き出される。
(中略)
1、成果や資源は、企業の内部にはない。いずれも企業の外部にある。
2、成果は、問題の解決ではなく、機会の開拓によって得られる。
3、成果をあげるには、資源を、問題ではなく、機会に投じなければならない。
4、成果は、単なる有能さではなく、市場におけるリーダーシップによってもたらされる。
5、いかなるリーダーシップも、うつろいやすく短命である。
6、既存のものは、古くなる。
7、既存のものは、資源を誤って配布されている。
8、業績のカギは集中である。
(中略)
これらが企業の現実であり、ほとんどの企業について言える仮説である。
(中略)
これらの仮説は、あくまでも仮説である。事実に基づき、分析によって検証しなければならない。
当然、該当しない企業や事業もあろう。
しかし、これらの仮説は、自らの企業を理解するうえで必要な分析の基礎である。
(「創造する経営者」P・F・ドラッカー著より)