金曜日・土曜日と雪が降り、一気に冬景色となった札幌です。
今まで雪が積もっていなかったお陰ですいすい車で移動が出来ていましたが、のろのろ運転をせざるを得なくなりました。
冬到来で思い出したのが童話「アリとキリギリ」です。
以前、この童話を用いて当時来ていたインターン生と一緒に紙芝居風に動画を作ったことが思い出しました。懐かしいな~。
目次
童話「アリとキリギリス」
この童話に登場するのは「アリ」と「キリギリス」。
童話の中で、
「アリ」は、夏の食糧が豊富のときから、冬に向けて準備をしています。
「キリギリス」は、冬への準備をせず、毎日楽しい生活をしています。
貴方は「アリ派」?「キリギリ派」?
ここで質問です。
貴方は「アリとキリギリス」なら、どちらを選びますか?
人によっては、「死ぬまで好きなことをやって死ねるなら幸せだ」という価値観もあるかもしれません。
ですが、貴方が経営者なら、「アリ」と「キリギリス」のどちらの思考を持つべきでしょうか?
「アリ」的思考が正解とは限らない!?
多くの方は、きっと「アリ」的思考を選択すると思います。だって、最後はどっちがハッピーかは一目瞭然だからです。
そしたら、現実に生きる私達にしてみたら、「アリ」的思考と「キリギリス」的思考であるべきでしょうか?
個人的には、どちらでも「有り」ではないかと思います。
何故なら、「アリ」と「キリギリス」とは指向しているものがそもそも異なっているだけだと思うからです。
それでは、各々を思考を確認したいと思います。
キリギリス的思考
童話上は、「キリギリ」は将来のことを考えずに、毎日楽しむことばかり考えていますが、本来の「キリギリス」は絶滅している訳でもなく、卵を地中に産んで自分自身はその年に死ぬわけです。これはどちらかと言うと、一代で完結する事業に譬えることができるのではないでしょうか。
地中に産んだ「卵」は、「弟子」であり、「弟子」に伝えたことで「種」の存続を図っていると捉えることができるかもしれません。
つまり「キリギリ」は「組織」の成長・発展を指向しているのではなく、「個」である自分自身が「どう花を咲かせるか」を指向しているわけです。
アリ的思考
片や、「アリ」は、地中に巣を作って、「組織」を形成します。その為、「組織」運営と存続を指向しています。
だから、必ずしも「アリ」的思考が正解であるとは限らない訳です。
「組織」を形成していても、場合によっては「キリギリス」的思考が許される場合があります。それは年齢等の理由で、あと数年で廃業するつもりの場合です。「あと数年は好きな仕事だけやって廃業する」というように状況によっては、そのような選択肢となる場合もありますよね。
一般的なキリギリス的思考、アリ的思考
上記とは異なる思考が一般的でないかもしれません。多分、「将来のことを考えるアリ」、「将来を考えないキリギリス」と区別しているのではないでしょうか。
以前、私どもの事務所でもそのような動画を作ったことがあります。※因みに、キャラクターは「初代さすけ君」です。
「アリ」であるべきだと解ってはいるけど・・・
「アリ」のような「将来の為の備え」とは、各人各様に捉え方が異なっていると思います。場合によっては「資金繰り」も「将来の為の備え」とも言えます。
今は、「時代の変化」が激しいときなので、もう少し先を見据える必要があるのではないでしょうか。
では「時代の変化」に対応できる事業とはどのようなものか?
この疑問を考えない経営者は居ないのではないでしょうか。
ただ疑問を感じるからといっても、いざ現実の上では一般的な「アリ」的思考で行動できるとは限りません。
具体的な例として、1)現在の事業をDXで業務効率化することで、「効率化した分」で、事業の幅を広げようと試みをしましたが、社内の反発で思う様に導入が進まない会社があります。
もしかして「環境変化への対応」として「DX導入」が何故必要なのか解らないのかもしれません。
ただ、DX推進を事業としている会社の方に聞くと、DXを導入自体に抵抗される方が多いと聞いていますので、「環境変化への対応」として「DX導入」が必要であることは解ったとしても抵抗されている可能性はあります。
青虫の全てが「季節の変化」に対応できる訳ではない?
会社で「AIを始めとするDXにどう取組むか」という決定を先送りすることに意味があるのか?
そもそも時間経過がすればする程、世界・社会が変化して行きます。
世界・社会は、その変化はどんどんしていきます。その変化に無視をしていたらどうなるのでしょうか。
この話で思い出したことがあります。
私の娘がまだ幼少期の秋頃、娘と近所を散歩をしていたときです。道端でひと際大きな青虫が動いていました。
青虫は、(自然環境の変化ではなく、毎年訪れる)季節の変化に対応して、幼虫から成虫(蝶)となると思っていましたが、実はそうではなかったようです。
(本能?で動く)青虫ですらそうなのですから、色々と考えてしまう人間なら尚更変化に対応ができない人が居ても不思議ではないかもしれません。
「秋」「冬」がいつ到来するのか?
では、経営者の立場になった場合、いつ「秋」「冬」が来るのか?という疑問が湧きます。
これは一概に言えませんが、多くの経営者にとって、下記に紹介する内容は何かの参考になるかもしれません。
「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在しない職業に就くだろう」(ニューヨーク市立大学大学院センター教授 キャシー・デビッドソン氏)
「日本はあと10~20年で、約49%の職業が、AIやロボットに代替される可能性がある」(オックスフォード大学 マイケル・A・オズボーン準教授、カール・ベネディクト・フレイ博士)
これらの言葉、正しいとすると「2025年から」から「秋」に入る可能性がある、と言い得るかもしれません。
「秋」「冬」に向けて何ができる?
P・F・ドラッカーの次の言葉が参考になるかもしれないので紹介させて頂きます。
『明日の問題に取り組むには、その前に、今日の問題を時間をかけずに効果的に解決できるようにならなければならない。
そこで、今日の仕事に対する体系的なアプローチが必要とされる。
企業にとって、本業の仕事は三種類ある。
(1)今日の事業の業績をあげる。
(2)潜在的な機会を発見し実現する。
(3)明日のために新しい事業を開拓する。
これら三つの仕事には、それぞれ異なるアプローチが必要となる。
異なる問題提起が必要となる。したがって、結論もまったく異なったものとなる。
しかし、これら三つの仕事は、互いに切り離すことはできない。
しかも、同時に行って行かなければならない。
すなわち、いずれも今日行わなければならない。そして、同じ組織によって、同じ資源、すなわち人、知識、資金を用いて、同じように企業家的なプロセスによって、行わなければならない。
未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。
主として、今日の仕事との関係のもとに行う意思決定と、行動によって、今日つくらなければならない。逆に、明日をつくるために行うことが、直接、今日に影響を及ぼす。
三つの仕事は重なり合う。したがって、一つの統合された戦略が必要である。さもなければ、三つの仕事のいずれも不可能となる。
これら三つの仕事に同時に取り組むためにはもちろん、そのうちの一つに取り組むためにさえ、経済的な組織としての企業の現実、その経済的な成果をあげるための能力、利用しうる資源と可能な成果との関係について、理解しておかなければならない。
さもなければ、単に目まぐるしさに翻弄されるだけである。しかし、そのような理解は、既成の概念によって与えられはしない。企業ごとに手に入れなければならない。(「創造する経営者」P・F・ドラッカー著より)』
私の一つの見解としては、
①「今日の事業」をDXで効率化を図る。
②この効率化で、「明日の事業」へ順次ステップしていく方向で工夫をしていく。
DXで業務効率化を意味することは?
DXで推進することで業務を効率化することは、「今日の事業」の足場固めをすることも意味します。
それは直接的、間接的な作業も含めてです。
そうすることで、「明日の事業」へのステップを踏んでいける準備ともなる。
そのように「明日の事業」を、「今日の事業」と関係性を持たせることが必須と思われます。
この場合、「DXで業務効率化」が意味することは、「今日の事業」と「明日の事業」の橋渡しとなる、ということです。
私の体験
私自身も、今現在ある業界団体の責任ある立場にいます。
私の見解では、私どのの業界(社労士業界、労働保険事務組合業界)の問題として、RPAによって「労務代行の手続き代行業務」事体が、ここ数年で縮小するだろうと予想しています。
AIがどんどん進化をしていけば、残る業務は、「リーガルチェック、(AIが対応できるまでは)法律相談、特別加入(及び特別加入に伴う年度更新)」しか残らなくなるでしょう。
そうなったら、会員の多くは売上は下がり、廃業する会員が多く出るのではと危惧しています。
そこで、AIを始めとするDXを導入をし、その事例の下、逆にDXを推進する側になることで、業務の幅を広げていけるチャンスでもあると考え業界団体の役員に提案をしました。
結果は、私の期待に反しては、「解らないのだからAIの話をするな!」「HPにも載せるな!」「(昔ながらの)社員教育をやったら助かる会員がいると思う」「AI以外で方針を出せないのか!無能だ!」、説明をしてる最中からヤジが飛ぶ、睨め付ける、最後まで話を聞かないで反論をして来る等反撥を受けました(笑)
AIを始めとするDXがらみで、社会がどんどん変化をしていくのは、小学生でも知っていることです。
「解っていること」と、「それを実行する」のでは雲泥の差があることを自ら体験をしました。
是非、皆さんも負けずに「明日の事業」に向けて、「DXで業務効率化」を進めてみて下さい。
まとめ
昔の童話「アリとキリギリス」では、助けを求めに来たキリギリをアリは助けません。
ですが、最近のは助けたり、しているみたいですね。
皆さんは、助けに来たキリギリスを助けますか?
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