従前にない「伝播の速度」と「到達度」で「知識が適用」されたことによって、何が引き起こされたのか?

1750年から1900年までの150年間に、資本主義と技術革新は世界を征服し、新しい世界文明をもたらした。

資本主義と技術革新そのものは新しくなかった。

いずれも、あらゆる時代を通じ、洋の東西を問わずあらゆる地域で見られた。



しかし、この150年間の資本主義と技術革新は、その伝播の速度と、文明、階層、地理を越えたその到達度において例がなかった。

まさに、伝播の速度と到達度こそが、資本主義をまさに資本主義に変え、一つの体制に変え、技術革新を産業革命に変えた。



この転換は、知識の適用によってもたらされた。

東西両洋において、知識とは常に存在に関わるものだった。ところが一夜にして、それが行為に関わるものとなった。

知識は資源となり、実用となった。

常に私的な財であった知識が、ほとんど一夜にして公的な財となった。(「プロフェッショナルの条件」より)



【考 察】

1,社会変改が激しい時代だからこそ「情報収集」を怠ることはできない。

(1)「伝播の速度」及び「到達度」については、現代の方が悠に凌ぐものとなっている。

(2)「知識の適用」が、従前の「資本主義」、そして「技術革新」を「産業革命」に転換させた。

(3)「知識労働者」は、「知識を適用」とすることが本来業務なのではないか。



上記2つを鑑みると、次のようなことが言えると思う。

今、実行している「知識の適用」は、明日には時代遅れになっている可能性がある。

その為、常に最新情報を「情報収集」をし、新たな「知識の適用」についてトライ&エラーを繰り返し、自社に適切なものに差し換え続けなければならない、ということを意味していると思う。



2,「知識の適用」ができるかどうか、どう適用・活用するかで知識労働者の価値を決める

(1)資源たる知識を適用した職場環境を整備することは、とても素晴らしいことだ。でも整備した段階で劣化も始まっていることを念頭に、見直しメンテナンス(現状の改善)をしていくかも織り込み済みでなければならない。

(2)このような職場環境の見直し・メンテナンスも、現状維持の為の改善ではなく、全否定して作り直すことも念頭に置きながら、情報収集に余念なく行うこと。



3,2つの「知識の適用」する区分となる可能性

(1)知識の伝播がとてつもない早さであることから、その知識についてほとんど有していない者でも使える環境に益々なってくる。そのような知識の利用でも社会活動は回る世の中になるでしょう、きっと。でも本当にその知識を持っている人とそうでない人では、サービスの本質的なものが違うはずです。で、あれば次の二つのパターンがあるように思う。

 ① 知識をさぼど持っていなくても、「知識を提供してくれるインフラ」を利用したサービス

 ② 本質的な部分を見据えて「こだわりの知識」の適用によるサービス

(2)上記②について補足説明をすると、上記①の情報からも学びながら、自身の知識を深堀できることが必須となることが予想される。

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付 録

文中に『1750年から1900年までの150年間に、資本主義と技術革新は世界を征服し、新しい世界文明をもたらした。』とありましたが、実際世界史にどのようなできごとがあったのかを列記してみます。ご参考にして下さい。

1750年 フランクリンが避雷針を発明

1760年 イギリスの産業革命(~1840年)

1762年 ルソー「民約論」

1765年 ワットが蒸気機関を改良

1776年 アメリカ独立宣言、アダム・スミス「国富論」

1789年 ワシントン初代大統領、就任、フランス革命

1804年 ナポレオン皇帝即位

1814年 スチブンソンが蒸気機関車発明

1814年 ナポレオン失脚

1819年 イギリス、シンガポール占領

1823年 アメリカ、モンロー宣言

1835年 モールス、電信機発明

1840年 清・イギリス間でアヘン戦争

1859年 ダーウィン、「種の起源」、イタリア、統一戦争

1861年 アメリカ南北戦争

1865年 メンデル、「遺伝の法則」

1867年 アメリカ、アラスカを買収

1869年 スエズ運河開通

1877年 エジソン、蓄音機発明

1879年 エジソン、白熱電灯発明

1894年 日清戦争

1895年 レントゲンがX線発見

1897年 ディーゼル、ディーゼル機関完成

1898年 キュリー夫妻、ラジウム発見