卒を視(み)ること嬰児(えいじ)の如し。故に之と深谿(しんけい)に赴(おもむ)く可し。』
(孫子の兵法:地形篇)
<通解>
普段から将軍は、兵士たちを愛おしい赤ん坊のように見守るべきです。
そうすれば、いざというときには、兵士達を深い谷底へでも引率できるのである。
将軍と兵士は、ただの指揮官と部下と言う関係だけでなく、親と子、教育者と生徒という一面も持っており、平素から愛おしい赤ん坊と接することが大切であり、そうすること、いざという大変な局面でも惜しまず協力をしてくれる。
<説明>
この一つの例として、思い起こされるのが、第二次ポエニ戦争で活躍した「ハンニバル」です。
イタリア本土を襲って、従数年間敵地に留まり戦い続けることは容易になことではありません。
これだけでもハンニバルが、並みの将軍でないことの証明でもあります。
ハンニバルにしてみると、ローマを盟主とする同盟を切り崩す為にも、イタリア本土に留まり続け、戦い続けることに意味があった。とは言え、率いているのは、本国であるカルタゴ兵の他に傭兵もいた。
傭兵へ支払いが滞りがちだったようですが、傭兵がハンニバルにそのついて行ったのは、彼自身への信頼関係以上のものがあったのでしょう。
これはハンニバル自身の人間的魅力もあったのでしょうから、私達は簡単に真似ができるものではありません。
ですが、少しでも一緒に働く人同士で信頼関係を築く努力も当然必要です。
そこで一つの提案として、社内で「あだ名」をつけて呼び合うというもの。
赤ん坊に対する接し方まではいかないかもしれませんが、「あだ名」で呼び合えば、人間同士の距離がぐぐっと近づくように思います。試してみてはいかがでしょうか。