顧客は誰か、との問いにこそ、個々の企業の使命を定義する上で、もっとも重要な問いである。
やらしい問ではない。まして答えのわかりきった問ではない。しかるに、この問いに対する答えによって、企業が自らをどう定義するかがほぼ決まってくる。
もちろん、消費者すなわち財やサービスの最終利用者は顧客である。
だが、消費者だけが顧客ではない。
顧客は常に一種類ではない。顧客によって、期待や価値観は異なる。買うものも異なる。
ほとんどの事業が少なくとも二種類の顧客を持つ。
カーペット産業は建築業者、住宅購入者という二種類の顧客を持つ。この両者に購入して貰わなければならない。
生活用品のメーカーは主婦、小売店という二種類の顧客を持つ。主婦に買う気を起こさせても、店が品を置いてくれなければ何にもならない。店が目につくように陳列しても、主婦が買ってくれなければ何にもならない。
(「【エッセンシャル版】マネジメント」PFドラッカー)