マネジメントは、社会の中核をなす機関である

企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存続するのは組織自体のためではなく。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織は、目的ではなく手段である。したがって問題は、「その組織は何か」ではない。「その組織は何をなすべきか。機能は何か」である。

それら組織の中核の機関がマネジメントである。(中略)

マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それら三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。

① 自らの組織に特有の使命を果たす。組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。

② 仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資(かて)、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を活かすことが重要な意味を持つ。

自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の、問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。

(中略)

時間は第四の役割とはいえなくとも、第四の次元として扱うべきものである。マネジメントは、常に現在と未来、短期と長期を見ていかなければならない。

(中略)

マネジメントの役割はもう一つある。

マネジメントは管理する。すでに存在し、すでに知られているものを管理する。同時に、マネジメントは起業家とならなければならない。成果の小さい分野、縮小しつつある分野から、成果の大きな分野、しかも増大する分野へと資源を向けなければならない。そのために昨日を捨てて、すでに存在しているもの、知られているものを陳腐化しなければならない。明日を創造しなければならない。

(「マネジメント」P.F.ドラッカー より)