物体の表面積は直径の二乗倍、容積は三乗倍の割合で増加する。組織の場合も、容積は表面積をはかるかに上回って増加する。重量もそれを支える構造を上回って増加する。
この表面積と容積に関する法則は、規模と複雑さとの間に密接な関係があることを意味する。組織が大きくなれば、その中身の大部分は外部環境から遠ざかる。そのため、組織の生命に不可欠な栄養素を供給すべき内部機関が複雑になる。こうして規模は複雑さを左右する。逆に、複雑さもまた規模を左右する。
(中略)
組織には、それ以下では存続できないという最小規模の限界が産業別、市場別にある。逆に、それを超えると、いかにマネジメントしようとも繁栄を続けられなくなるという最大規模の限界がある。
(「マネジメント 基本と原則」 P.F.ドラッカー著)