健康診断の検査項目・省略基準が改正されました。
~平成20年4月1日から施行されています。~
改正の趣旨
一般健康診断の結果では、高脂血症や高血圧、糖尿病など脳・心臓疾患等につながる所見を有する労働者が増加しており、さらに、業務によって生じた脳・心臓疾患により労災認定される件数が、近年高止まりの状況にあります。
また、中高年の男性を中心に肥満者の割合が増加傾向にありますが、肥満者の多くは、糖尿病、高血圧、高脂血症等の危険因子を複数併せ持ち、これらの危険因子が重なるほど作業関連疾患である脳・心臓疾患を発症する危険が増大することが医学的に判明しています。
これらのことを踏まえ、脳・心臓疾患を予防する観点から一般健康診断の検査項目等が改正され、1日から施行されることになりました。
《改正の内容》
1.「腹囲」の測定を追加(省略基準あり)
2.血中脂質検査の「血清総コレステロール」を削除し、「低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)」を追加(省略基準あり)
3.「尿中の糖の有無の検査」は血糖検査を受けた者についても必須項目となりました(省略基準を削除)
《検 診 項 目》
1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部エックス線検査及び喀痰検査
5 血庄の測定
6 貧血検査(赤血球数、血色素量)
7 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
8 血中脂質検査
・高比重リポ蛋白コレステロール(HDL コレステロール)
・低比重リポ蛋白コレステロール(LDL コレステロール)
・血清トリグリセライド
9 血糖検査
10 尿検査(尿中の糖及び蚤白の有無の検査)
11 心電図検査(安静時心電図検査)
《医師の判断により省略できる基準》
1 身長の検査:20歳以上の者
2 腹囲の検査
・40歳未満の者(35歳の者を除く)
・妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの
・BMIが20未満である者 BMI = 体重( kg) / 身長(m)
・自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満である者に限る)
3 胸部エックス線写真検査(平成22年4月1日より施行) (改正のリーフレット)
・40歳以上の方 → 全員に実施
・40歳未満の方 → 以下のア~ウ以外の方で、医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。
ア 5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の
イ 感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働かれている方
ウ じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている方
かくたん検査
・胸部エックス線検査によって病変の発見されない者
・胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者
・胸部エックス線写真を省略された方
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、 血糖検査及び心電図検査
・40歳未満の者(35歳の者を除く)
※ 雇入時の健康診断では、項目の省略はできません。