第三のアプローチ(利用しうる資源が最大の成果をもたらす機会を発見することによって、「資源」の最大化を図る)は、資源の最大利用である。
このアプローチについては、ロスチャイルド家の例が、最も教訓的である。
ロスチャイルド家の発展は、当然のことではなかった。
1790年代の後半、ロスチャイルド家の基盤を築いたマイヤー・アムシェル・ロートシルトは、地方小都市の一介の金融業者であって、国際金融の中心地では名も知られていなかった。
しかしそのわずか20年後、ナポレオン戦争が終わるころには、ロスチャイルド家は、ヨーロッパ随一の金融王国となり、フランス、ロシアなどの大国と肩を並べ、群小の君主を見下すほどの地位を得ていた。
短期間にロスチャイルド家を成功に導いたのは、同家の最大の資源、すなわちその人的資源の最大利用にあった。
ロスチャイルド家では4人の子供、ネイサン、ヤーコプ、アムシェル、サロモンが最大の資源だった。
彼らの父親、あるいは母親が、この4人のそれぞれに対し、それぞれの才能や性格に最も適した機会、すなわちそれぞれが最大の貢献を行える機会を与えた。
(創造する経営者、P.F.ドラッカー)