精神疾患の方と異なり、「知的障害」の診断を受けている方々は、<知能指数IQ>の結果を持っています。
当センターで実際に関与した案件では「知能指数的に障害年金の受給は難しい」と判断されて、他の社労士から依頼を断られた方もいらっしゃいました。
本当に、<知能指数IQ>で【障害年金】の受給の有無が決定されるのでしょうか?
目次
<知能指数IQ>で【障害年金】の受給の有無は決定?
<知能指数IQ>の数値によって障害の程度は、下図のように一般的に判断されているようです。
<知能指数IQ>で、ここまで判断されているのであれば、【障害年金】の認定は簡単なのではと思えてしまいます。
本当に<知能指数IQ>の結果だけで【障害年金】の受給の有無は決定してしまうのでしょうか?
まずは、<知能指数IQ>を調べる知能検査「WISCーⅣ」について見ていきましょう。
知能検査「WISC-Ⅳ」の検査内訳
当センターにご相談に来られる方々の多くは、「知能検査」のIQの総合評価の数値のみをお伝えくださいます。
確かに、とても重要な数値であることは間違いありません。
ですが、この内訳も教えて頂けるととても参考になります。
WISC-IV知能検査とは?検査の内容について解説します
WISC-IVはウェクスラー式知能検査の一つです。
WISC-IV(ウィスク・フォー)は、世界各地で使用されている児童用の知能検査として、全体的な知的能力や記憶・処理に関する能力を測ることができるため、発達障害の診断やサポートに活用されてます。この記事では、WISC-IVについての詳細や検査内容について解説していきます。
引用:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10449000172お仕事探しでこんなお悩みありませんか?
下から当てはまる回答を1つ選んでください
WISC-IV知能検査とは
WISC-IVはウェクスラー式知能検査の1つです。ウェクスラー式知能検査は70年以上の歴史を持つ検査です。現在、全体的な知的能力や記憶・処理に関する能力を測るテストとして現在世界20数か国で使用されており、国際的にもその信頼性が高く評価されています。
ウェクスラー式知能検査は年齢に応じて種類が異なり、幼児用のWPPSI、児童用のWISC、成人用のWAISの3つが使い分けられています。このうち、今回の記事で紹介するWISCは、5歳0ヶ月~16歳11ヶ月の子どもを対象とした、児童用の知能検査です。WISC-IVは、WISC-IIIを改訂したものであり、その検査内容の一部が引き継がれています。
以前WISC-IVを受けたことがある方が再度検査を実施する場合は、回答を記憶し正確な結果がでなくなってしまうことから、最低でも1年程度、できれば2~3年の間隔をあけることが望ましいとされています。
なおWISC-IVの結果は、子どもの発達状況や、得意不得意を把握する上で便利な手段となりますが、その結果だけで発達障害の診断が確定するわけではありません。
引用:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161002199WISC-IV知能検査の内容
WISC-IV 知能検査は、10種類の基本下位検査と、5種類の補助下位検査(必要があれば行う検査)の合計15の検査で構成されています。
検査を行うことで、5つの合成得点(全検査IQと4つの指標得点)を知ることができます。ここでは、5つの合成得点の詳細について見てみましょう。
出展元:日本版wisk-iv テクニカルレポート#1|日本文化科学社全検査IQ(FSIQ)
全体的な認知能力を表す項目です。補助検査を除いた10種類の基本下位検査の合計から算出されます。
4つの指標得点M
言語理解指標(VCI)
言語による理解力・推理力・思考力に関する指標です。この力により私たちは言語によるコミュニケーションをとったり、そこから推論することができると考えられています。
基本下位検査項目:類似、単語、理解
補助下位検査項目:知識、語の推理
知覚推理指標(PRI)
視覚的な情報を把握し推理する力や、視覚的情報にあわせて体を動かす力に関する指標です。新しい情報に対する解決能力や対応力にも影響すると考えられています。
基本下位検査項目:積木模様、絵の概念、行列推理
補助下位検査項目:絵の完成
ワーキングメモリー指標(WMI)
一時的に情報を記憶しながら処理する能力に関する指標です。ワーキングメモリは読み書き、算数といった学習能力や、集中力に大きくかかわることが指摘されています。
基本下位検査項目:数唱、語音整列
補助下位検査項目:算数
処理速度指標(PSI)
視覚情報を処理するスピードに関する指標です。マイペースで切り替えが苦手である場合などもこの指標得点が低くなることがあります。
基本下位検査項目:符号、記号探し
補助下位検査項目:絵の抹消
私達は、IQと言えば、「IQ104」と言ったように、数字が1つだけで成り立っていると思いがちですが、実際はそうではないことを知ることが出来ました。
尚更、知能検査を受けた人の日常生活状況のイメージが涌きそうな気がしますが、「障害認定基準」を見てみましょう。
【障害年金】の「障害認定基準」には
『知的障害の認定にあたっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断します。』と障害認定基準ではなっています。
『知能指数のみに着眼することなく』とある通り、上図のような一般的な指標は一つの参考にする程度だけです。
「軽度の知的障害」だからと、【障害年金】の申請を諦めてしまうケースこお見受けしますが、検討はされても良いと思います。
実際に、私どもが関与させて頂きました案件でも、障害者雇用で勤務されている方も【障害年金】を受給している方もいます。
ですので、【障害年金】の実際の手続きでは日常生活状況を出来るだけ詳しく伝えていく必要があります。
では、どう伝えていったら良いのでしょうか。
答えは、『病歴・就労状況等申立書』です。
知的障害の場合、「知能指数検査」がある為、得意なこと、苦手なことが数値化がされています。この数値を裏付けとしていくことも、客観性があり重要なポイントになると思います。
これらの<知能指数IQ>の数値も活用しながら、是非「病歴・就労状況等申立書」を作成してみて下さい。そして、繰り返しになりますが、出来るだけ「詳しく」書くことを忘れないで下さい。
まとめ
<知能指数IQ>の結果で【障害年金】の受給の有無の決定はしない。あくまでも参考資料の一つとして扱います。
但し、逆を言えば、それ以上の有効な情報がなければ、それだけで判断される可能性も充分にありますので、出来るだけ、日常生活状況については判断基準に合わせて作成するようにして下さい。
最後までお読み頂きまして大変にありがとうございました。
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