「網膜色素変性症」には光量調節が必要である為、職場での理解が絶対必須!?

「網膜色素変性症」は、当センターでもよくご相談される病気の一つです。

「網膜色素変性症」は、どのような病気であり、従業員に「網膜色素変性症」の人がいる場合、どのような配慮が考えられるのかを考えていきたいと思います。どうぞ最後までお付き合い頂けたらと思います。

「網膜色素変性症」とは

私たちが眼で何かを見たときには、形や色を識別して像として認識することができます。
眼球の奥にある「網膜」と呼ばれる部分で、細胞が活発に働くことによって形や色を認識していると言えるのです。

人間の「網膜」では、「明るい場所で活発に働く細胞」と、「暗い場所で活発に働く細胞」があります。
暗い場所で、少しの光を捉える細胞を「桿体細胞(かんたいさいぼう」)と呼びます。

「網膜色素変性症」は、この「桿体細胞」が徐々に機能を損なってしまう病気です。
薬などの治療によって進行を遅らせることはできますが、一度損なってしまった機能を回復させることは、今の医学では叶っていません。

一般的に病気が進行すると視野の外側から狭まってきて、中心部で物を見る状態となります。
また暗い場所では極端に視力が低下したり、場合によっては暗い中では全く視力が無くなってしまう方もいます。

病気の原因は遺伝によるものとされますが、症状は個人によって異なる場合があります。
たとえば「網膜色素変性症」と「難聴」、「めまい」といった症状を併せ持つ方の場合には、眼の症状だけではなく総合的な配慮が必要となってきます。

配慮が必要な症状など

(1)「網膜色素変性症」の症状としては、「視野が狭くなる(視野狭窄)」と、「暗い中での視力低下(夜盲)」が特に注意すべき症状となります。

視野が狭まることで、業務によっては安全確認が難しい場面もあります。
特に機械作業では他者の操作する状況などを視覚によって捉えることが難しく、一般的な目視による安全確認が困難な状況があることを理解しておきましょう。

オフィスの遮光カーテンによる部屋の明るさ調整でも、障害をお持ちの方によっては業務に支障を来すほどの視力低下が起こる場合もあります。

(2)廊下や階段など、光で多く照らす必要があまりないとされる場所では特に注意が必要です。
階段を照らす天井照明の明るさでは十分な視力を確保できずに、転倒したり、つまずいてしまう可能性があります。
職場の安全配慮義務ともなりますので、事故を防ぐためにも、通路には邪魔な荷物を置かないなどのルール決めが重要となってきます。

(3)「網膜色素変性症」は、進行していく病気ですが、一般的にその進行速度は緩やかで、数年から数十年を掛けて進行していくとされます。薬などの治療で進行速度を遅らせるとはいっても、徐々に体の機能が損なわれていく不安や恐怖心があります。

以前はできていた作業や、確認できていたことができなくなるケースに出会うことがあるかもしれません。
会社としては障害をお持ちの方の、そうした精神的な不安をしっかりとフォローすることが重要だといえるでしょう。

職場の労働環境や光量の問題なども含めて、産業医とともにしっかりと心身ともに万全のフォローをすることは、これからの社会にとって必要だと思います。

仕事をする上で本人が気を付けておくこと

(1)症状の度合いによっても、どの程度の範囲まで会社や同僚に伝えておくかは異なるかと思います。

職場での光量調整に関しては、ご自身がどの程度の明るさが必要であるかを伝える必要があります。
たとえば同じ光量であっても、窓際なのか中央なのかによって見え方に差が出る方もいます。

季節によっては終業時間には日暮れを迎えて、帰宅時に安全を確保できない症状をお持ちの方もおられます。
その場合には、季節に応じて就業時間を調整してもらったり、フレックス制度や時短勤務などで対応するケースもあります。

また機械を用いる業務で特に注意しなくてはならないことが、雨天時や夕暮れどきの光量です。
天候によって視力の低下を伴う職場環境の場合には、個人用に照明を用意してもらうことも考えましょう。

場合によっては安全確保のために残業を考慮してもらったり、天候によって柔軟に業務を変更してもらう方もいます。

(2)「視野の狭窄」に関しては、突然肩を叩かれるような仕草や、同僚が突如現れて驚いてしまうことがあるかもしれません。
同僚からの呼びかけは遠方からの、あらかじめの声かけを周知して対応することも考えられます。

障害をお持ちの方にとって大きなストレスの要因ともなる可能性がありますので、どのような行動がストレスに繋がるかを伝えておきましょう。

同僚や上司の協力のもとストレスをなるべく避ける職場配慮は、多くの方にとって良い職場環境へと繋がります。

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