【五事七計:道】DX化で忘れてはいけないものとは?歴史の反面教師から学ぶ!?

「孫子の兵法」における「五事七計」の中で、「道」とは、道徳による統治を指すのみならず、戦争を行う上で最も重要な原則として位置づけられています。「道」とは、戦争を行う上で正しい方針・戦略を立て、その方針に従って行動することを指します。具体的には、以下のような内容が含まれます。

・【天道】:天の法則に従うこと。孫子は、戦争においても自然の摂理を尊重することが大切であると説きました。

・【地道】:地の地形や地勢を正確に把握し、それに合わせた戦略を考えること。

・【将道】:将軍自身が持つべき徳、知、勇などの素養を磨き、兵士を指揮すること。

・【信道】:部下との信頼関係を築き、情報を正確に収集し、情報共有すること。

・【法道】:法に従い、正しい手続きを踏むこと。孫子は、「兵法は詐を許さず、必ず公平な手順に従うべき」と説きました。

これらの「道」を理解し、実践することで、孫子は戦争を勝利に導くことができると考えていました。

この「道」が、「五事七計」の一番最初に挙げられているのには理由があるように思います。歴史の事例を紹介させて頂くことで、私の意見の代わりとさせて頂きます。

世界初の世界帝国アッシリアの滅亡

『一見したとこでは、アッシリアの滅亡は理解しがたいように思われる。なぜなら、アッシリアの軍国主義者たちは決して、マケドニア人や、ローマ人は、マムルーク族のように、”漕ぎ手を休め”なかったからである。これらのアッシリア以外の国ぐにの戦争機構が致命的な事故に遭遇したときには、それはいずれも、もはやどうにもならないくらい時代おくれになり、到底修理のきない状態になっていた。これに反し、アッシリアの戦争機構は、滅亡の日にいたるまで、たえず点検され、修復され、補強された。』(「歴史の研究」トインビー著 )

では、何がアッシリア帝国の滅亡の原因であったのか?

アッシリア帝国は、鉄製武器を用い、初めて騎馬隊を実践で活用し、砂漠でラクダを利用した兵站で他国を圧倒した軍隊を持っていて、世界初の世界帝国を築きました。

そのようなアッシリア帝国が滅亡した原因は、いくつかの要因が絡み合った結果とされています。一つは、アッシリアが長期にわたって続いた戦争によって、軍事費がかさんだことが挙げられます。その結果、国内の財政は疲弊し、国力が低下したとされています。

また、アッシリア帝国は、周辺国々に対して非常に残忍で暴虐な支配を行っていたため、周辺国々からの反感を買い、反乱が起こりやすい状況に陥っていました。さらに、アッシリア帝国内部でも、王朝の政治的な不安定さや権力闘争が激化し、統治能力の低下も一因となりました。

余談ですが、これらの要因が重なった結果、アッシリア帝国は紀元前612年に、メディア・バビロニア連合軍によって滅亡しました。この時、アッシリアの都ニネヴェは陥落し、王のアッシュール・ウバ・パルが自殺するなど、壮絶な最期を迎えました。

このアッシリア帝国から私達が学べることは、

・DX化で他社より(色んな意味で)強大になったとしても、「道」を忘れないこと

・「道」無きDX化も、メッキであって、アッシリア帝国が世界帝国になって直ぐに衰退したと同じように、短期間で衰退していしまうと考えて良いのではないでしょうか。