『敵味方の兵器の性能が同じである(E=1)と仮定して、双方の兵力数と損害量の関係を数量的に計算し、その結果、兵力数の少ないほうが必ず負けるという結論を導き出してきたのがランチェスター法則である。
では、もしE=1でなかったらどうなるだろうか。兵器の性能を相手より上げていけば、兵力数の劣勢がカバーされ、弱者にも当然、勝つチャンスが生まれてくる。これが差別化だ。
マーケティングの領域では、兵器は製品に相当しよう。ということは、製品の質を高めれば、あるいは非常に独創的な新製品を出せば、弱者の企業にも勝つチャンスが生じてくるということだ。これがマーケティングの分野における差別化の基本である。
だが、ここに実は難しさがある。
第一に、各社の技術水準が平均化され、製品に格差を生み出しにくくなってきているというのが現状だし、仮に生み出せたとしても、各社がただちにミートしてくる。(中略)
第二に、新製品の成功確率が四〇にひとつと言われてている現実がある。(中略)
第三に、何を開発するにせいよ、製品のライフサイクルが異常に短くなってきたということが問題である。』
(ランチェスター戦略の基本がわかる本 / ランチェスター戦略研究会・著)